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昇進を受けるか迷う。肩書きより先に確かめたい、仕事・条件・人間関係のこと

きいてみた編集部

昇進の話はうれしいはずなのに、すぐには返事ができない。責任は増えそうだし、好きな仕事から離れるかもしれない。断ったら、やる気がないと思われるのではないか。期待されているからこそ、迷いを口にしにくいことがあります。 条件が合わず断った人、実務の仕事を続けたい人、恩のある元上司を部下に持つことになる人。三つの相談から、何に迷っているのかを分け、引き受けた後の働き方まで考えてみます。

仕事用のバッグを手に取る手元

1.昇進への返事は、自分の意欲の採点ではない

「せっかく声をかけてもらったのに」と思うと、迷っている自分をまず責めてしまいそうです。ただ、役職が変わるということは、働く日の中身も変わるということです。人の相談を受ける時間、成果を求められる範囲、自分で決められること、報酬。その組み合わせを知らないまま、意欲だけで返事をするのは難しいでしょう。

今回の三つの相談は、同じ昇進でも、引っかかっている点が違いました。一人は全体の報酬が下がる条件に、一人は得意な実務から離れることに、もう一人は新しい部下との関係に迷っています。引き受けるべきかを一つの物差しで決める前に、自分の迷いがどこにあるかを言葉にしたいところです。

たとえば、役職の名前には魅力を感じるけれど、部下の人数や担当範囲が分からない、という段階かもしれません。その場合に必要なのは、覚悟を固めることより追加の説明です。一方、仕事内容を聞いたうえで、自分が続けたい仕事と明確に違うと感じることもあるでしょう。分からないから迷うのと、分かったから迷うのでは、次にすることが変わります。

2.将来の肩書きの価値と、今から負う負担を同じ場所で考える

条件が合わず昇進を断った相談者は、基本給は上がるものの、賞与や歩合の仕組みが変わり、全体の報酬は下がると説明していました。そこには、別の考え方も寄せられています。

昇進を受けて肩書を手に入れ、それを武器に他社へ転職すると思います。

将来の選択肢を重視する提案です。ただ、その価値を考えるときは、転職できるまでの期間を自分が引き受けることも一緒に見たいところです。肩書きが次の仕事に役立つかもしれなくても、今すぐ増える負担や変わる報酬が、後で確実に取り戻せるとは限りません。

この相談では、昇進を目指して、すでに担当を超える仕事をしてきたという事情もありました。今後は現在の役割に仕事を絞るという発言への批判に、相談者はこう返しています。

昇進のために担当範囲を超えて働いてきましたが、条件が合わない以上、それぞれの役割の範囲内で仕事をするのが妥当です。

役職を受けるかどうかと、すでに増えている仕事をどうするかは、つながった問題です。断った後も管理の仕事がそのまま残るなら、肩書きは変わらなくても、本人の働き方は元に戻りません。断る場合にも、どの仕事を続け、どこから担当を見直すかまで話す必要がありそうです。これは、この相談から考えられる業務の整理であり、契約上の権利を判断する話ではありません。

比べるときは基本給だけでなく、賞与などを含めた説明を受け、自分が何を前提に考えているかをそろえる。そのうえで将来の経験に価値を置くのか、今の暮らしとの両立を重視するのかを考えます。他人が選べる条件を、自分も無理なく選べるとは限りません。

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3.得意な仕事を続けたいなら、続けたい中身まで伝える

技術チームのリーダーとして働く別の相談者は、顧客とやり取りする今の仕事を得意としていました。一方、その会社の管理職は、自分では動かしにくい指標で評価されることや、増える負担に見合うと思えない条件が気になっていたそうです。

怖くて避けているという話ではなく、力を注ぎたい仕事があるという伝え方です。

この考え方を自分の面談に持ち込むなら、「今のままがいい」の一歩先まで説明したいところです。今のままと言っても、仕事内容を変えたくないのか、専門性を深めたいのか、人を評価する仕事を担いたくないのかで、上司と話す内容は違います。

たとえば「顧客の課題を聞き、技術的な解決策を組み立てる仕事を今後も伸ばしたい。管理職になると、その時間はどのくらい残りますか」と聞く方法が考えられます。これは編集部の例です。役職への好き嫌いだけでなく、力を発揮したい仕事と、提示された役割がどのくらい重なるかを確かめています。

同じコメントには、育成や技術方針の検討など、別の貢献を示す提案もありました。ただ、断る代わりに何でも引き受けると、管理職相当の仕事だけが増えることも考えられます。代案を出すなら、担当する範囲と時間、今の仕事の何を減らすかまで含めて相談したいところです。

会社が昇進で解決したいことと、自分が伸ばしたいことが分かれば、重なる部分を探せます。重ならないと分かった場合にも、何を迷っているのかを曖昧にしたまま返事を引き延ばすより、判断の理由を説明しやすくなります。

ノートにペンを添えて考える手元

4.人間関係が不安なら、最初の挨拶より、その後の決め方を見る

三つ目は、入社時に助けてくれた元上司を、自分の部下に持つことになる相談です。その人も同じ役職を希望していたようで、昇進を引き受けると気まずくなるのではないかと心配していました。コメントには、就任直後より少し先を見た意見がありました。

本人の担当範囲で、どの決定を引き続き任せるか、最初に文書で決める価値があります。好意で許しているだけにはせず、本人が試行錯誤で仕事の境界を探す前に、早めに具体的に伝えてください。

最初にどう挨拶すればよいかは気になるでしょう。ただ、仕事が始まれば、誰が顧客に返事をするか、どの判断に承認が要るかという場面が繰り返し来ます。そこで相手の経験をどう生かし、どこから自分が責任を持つかが曖昧だと、丁寧な挨拶だけでは解けない摩擦が残りそうです。

元上司だからと毎回遠慮して決められなくなることも、上司になったのだからと全部を取り上げることも、本人が望む関係とは限りません。敬意を持つことと、仕事の決定権を明確にすることは、一緒に考えられます。相手がどう感じるかを予想し続ける前に、役割として何を任せるのかを会社と確かめたいところです。

三つの相談を自分の返事につなげるなら、確認することは次のように整理できます。

  • 新しく増える仕事と、代わりに手放せる仕事は何か。
  • 評価される範囲に対して、自分にどの決定権があるか。
  • 全体の報酬や時間の使い方は、どう変わるか。
  • 引き受けない場合、今後の担当と成長の機会をどう話せるか。

全部に理想的な答えが出るとは限りません。それでも、条件がまだ分からないのか、自分の希望と合わないのか、人間関係への不安が大きいのかが見えれば、次に誰と何を話すかは選びやすくなります。

5.受けるか断るかの前に、引き受けた毎日を確かめる

昇進に迷うことを、意欲があるかないかの答えにしなくてもよいと思います。役職の名前だけでは、その仕事で何を得て、何を手放すのかは分かりません。条件、仕事の中身、決定権、人間関係を具体的にしてから、自分が望む働き方と比べる余地があります。

今、確認したいことを一つ選ぶなら、「この役割になると、今の一週間はどう変わりますか」と聞いてみるのも一案です。増える仕事だけでなく、減る仕事も含めて確かめる。期待に応えたい気持ちを大切にしながら、実際に続けられる働き方への返事を考えてみてください。

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