投資で意外と見落とされがちな道具、チェックリストの話
投資で使える道具の中で、いちばん過小評価されているのはチェックリストだと思います。
チャーリー・マンガーも「難しい問題を解くには、チェックリストを使うのがとても有効だと信じています」と言っています。
そして、投資が難しい問題なのは間違いありません。
大きな理由のひとつは、情報がとにかく多いことです。財務諸表、決算説明会、経営者のインタビュー、競合企業、市場の動き、株価の割安さを測る指標、業界レポート、利用者の口コミ、掲示板の議論など、調べようと思えばいくらでも出てきます。
そのうち、情報量に圧倒されてしまうんですよね。そこで役に立つのがチェックリストです。余計な情報を切り分けて、本当に大事な少数のポイントに集中できます。
車の運転を覚えるときに似ています。運転を始めたばかりの頃は、あらゆることが気になります。
・前を走る車 ・後ろの車 ・横の車 ・変な音 ・道路の穴ぼこ ・スピード ・標識 ・自分が何か操作したときのお父さんの反応
でも、慣れてくると、主に大事なところを見るようになります。
・進行方向の様子 ・道路上の危険になりそうなもの ・どちらへ進むか
それ以外は、だんだん自然に判断できるようになります。投資も似たところがあると思います。
チェックリストがあれば、判断を振り返る基準ができます。投資がうまくいかなかったときに、こう考えられます。
「何か見落としていなかったか?」 「チェック項目が足りなかったのか?」 「軽く見ていた要素はなかったか?」
たとえば私は4年前にAmplitudeへ投資しましたが、株価はほぼ横ばいでした。そこから学んだのは、割安かどうかだけでは足りないということです。できれば、その業界に追い風も吹いていてほしいんですよね。
もちろん、完璧な投資チェックリストがあるとは思いません。そんなものがあれば、みんなが使ってしまい、優位性はなくなるでしょう。
ただ、入れるべき項目と、あまり役に立たない項目はあると思います。投資スタイルや投資先の業界、何を目指すかによっても大きく変わります。
私がいちばん役に立っていると感じるのは、この7項目です。
1. その会社には、長く続く競争優位性があるか? 2. 商品やサービスは、どれくらい優れているか? 3. 経営陣は、どれくらい有能か? 4. 株価は、企業価値に対して妥当か? 5. その会社の商品やサービスの市場は、よくなっているか、悪くなっているか? 6. 競合は、市場シェアを奪うために何をしているか? 7. 財務は健全か? 大きな経済的な打撃にも耐えられるか?
それぞれ、さらに細かく分けられます。たとえば経営陣なら、こんなことを見ます。
・自社株買いをしているか? ・利益を再投資しているか? ・再投資しているなら、投下した資本に対してどれくらいの利益を上げてきたか? ・その業界に関係する経歴や経験があるか?
私が実際に使っている情報源も挙げておきます。
経営陣:LinkedIn、Wikipedia、YouTubeのインタビューです。誰が会社を動かしていて、どんな考え方や見解を持っているのかを調べます。
競合との違い:技術面の比較、ネットの口コミ、内容に応じて掲示板も見ます。
企業価値の評価:Wisesheetsを使っています。銘柄コードを入れ替えたり、前提条件を調整したりできる計算モデルで、企業価値を見積もります。
競争優位性:できる限り、商品やサービスを自分で使います。また、自分がこの会社と競争するとしたら何をするか、既存の競合の立場なら何をするか、と考えます。
特許や知的財産、利用者が増えるほど価値が高まるネットワーク効果、ブランドの知名度、仕入れ先との関係、生産能力など、簡単にはまねできない強みを探します。
市場の方向性:市場レポートを読み、業界で何が変わっているか、どの分野が伸びていて、どこが縮んでいるか、需要がどちらへ向かっているかを調べます。
財務の健全性:Wisesheetsで財務諸表を分析します。利益、フリーキャッシュフロー、利益率、成長率、債務の支払い能力を示す比率、資金繰りの余裕、資本に対する収益などを見ています。
経済的に大きな打撃を受けても生き残れるほど、その会社の財務が健全かを見極めたいんです。
みなさんの投資チェックリストには、何が入っていますか? 痛い思いをして学んだことも、ぜひ聞いてみたいです。